米国特許商標庁（USPTO）は、特許審判部（PTAB）における当事者系レビュー（IPR）及び特許付与後レビュー（PGR）手続きの実務規則の修正を提案し、この修正案に関する意見募集を6月18日まで行った。修正案の概要は以下の通りである。

　１．PTABは並行する請求の審理開始を拒否できる。
　　　並行する請求とは、以下の条件を満たす請求のことを指す。
　　　・同一人からの同一特許に対する複数の請求であること
　　　・最初の請求と同時、又は特許権者による最初の予備応答の提出日（提出がない場合は最初の予備応答の期限満了日）以前になされた請求であること

　２．PTABは、連続する請求の審理開始を拒否できる。
　　　連続する請求とは、以下の条件を満たす請求のことを指す。
　　　・同一請求人、請求人の利害関係者又は実質的利害関係者によって、最初の請求と同一特許の重複するクレームに対し過去に請求がなされていること
　　　・特許権者による最初の予備応答の提出日（提出がない場合は予備応答の期限満了日）後になされた請求であること

　３．同一又は実質的に同一の先行技術や議論が過去に USPTO における審理や審査で取り扱われた請求は、請求人がUSPTO の重大な誤りを立証しない限り、PTABは審理開始を拒否できる。

　４．特許権者は予備応答とは別の書類を提出して、PTABの裁量による審理開始の拒否に関する主張を行うことができる。

　５．審理開始後に和解した場合だけでなく、審理開始前に和解した場合にも、和解契約書をPTABに提出することが新たに義務付けられる。審理開始前と開始後とで訴訟終了の要件を整合させるためである。

【情報源】

連邦官報：

https://www.federalregister.gov/documents/2024/04/19/2024-08362/patent-trial-and-appeal-board-rules-of-practice-for-briefing-discretionary-denial-issues-and-rules