USPTO、特許適格性の法理に関する報告書を議会に提出、公開(2022年6月28日公開)
米国特許商標庁(USPTO)は、特許適格性の法理に関する調査の結果をまとめた報告書(Patent eligible subject matter: Public views on the current jurisprudence in the United States)を議会に提出し、2022年6月28日に公開した。USPTOは、2021年3月におけるTillis上院議員らからの要請に応え、2021年7月に特許適格性の法理に関するパブリックコメントを募集し、調査を行った。Tillis上院議員らは、Alice判決(2014年)やMayo判決(2012年)といった最高裁判例以来、特許主題の適格性における一貫性と明確性の欠如が見られることを特に懸念していた。この報告書は、法律協会、業界団体、支援団体、非営利団体、企業、法律事務所、実務家、学者、発明者など、さまざまなステークホルダーから寄せられた141件のコメントに基づいている。
以下(1)-(4)が報告書のキーポイントである。
(1) 特許適格性の法理に関しては、明確で、予測可能で、一貫性のあるものであるべきという点では大筋意見がまとまった。
(2) 現状の支持者からは、過度に広い特許を巡って不適切で費用のかかる訴訟を回避できること、イノベーションや知識共有が推進されること、科学情報や革新的な医薬品へのアクセスが強化されることなどが挙げられた。また、AIや量子コンピュータなどの新興技術関係者からは、最高裁判決以降、投資が増加傾向であるという意見があった。
(3) 現状の非支持者からは、現状の特許適格性の法理が特許の利用を阻害し、権利行使についての予測がしづらくなったことで、新規技術や企業への投資が妨げられていることが挙げられた。また、新興企業、中小企業からは、現状の特許適格性の法理が小規模な投資を抑制しイノベーションを阻害しており、その結果、市場を少数の大規模で資金力のある既存企業に集中させているとの指摘があった。
(4) 医療診断や精密医療の分野では、特許ではなく営業秘密等の他の方法で知財を保護するようになり、新しい技術情報の開示が減少した。
USPTOは、リスニングセッションなどを通じて、引き続き、ステークホルダーからのフィードバックを募集する。また、USPTOは、全てのステークホルダーに追加のフィードバックや提案を提出する機会を提供する(宛先:101@uspto.gov.)。
【情報源】
米国特許商標庁(USPTO) HP:
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/USPTO-SubjectMatterEligibility-PublicViews.pdf
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