USPTO、暫定的長官レビュー制度を導入(2021年6月29日より)
米国特許商標庁(USPTO)は、2021 年6月29日、Arthrex最高裁判決に基づいて、暫定的長官レビュー制度を導入した。この暫定的長官レビュー制度は、USPTO長官の自発か、または当事者の請求によって、PTABの最終決定に対してUSPTO長官がレビューする制度である。
USPTO長官が自発的にレビューする場合は、当事者に通知され、打ち合わせの機会を得られる。また、当事者の請求により長官がレビューする場合は、当事者系レビュー(IPR)か付与後レビュー(PGR)の最終判決書に対して請求することができる。
当事者がレビューの請求を行う場合は、PTABの最終判決書、または再審理の判決書から30日以内提出しなければならない。
なお、以下にArthrex最高裁判決の概要を記載する。
<United States v. Arthrex>
2021年6月21日に、最高裁判所は、PTABの審判官(Administrative Patent Judge、以下APJ)が下級官吏とされることは違憲と判示した。
本判決は、APJが、主要官吏なのか、それとも下級官吏なのか、を争点としていた。
USの法律によると、主要官吏は、上院の助言と承認を得て大統領が任命することが必要であると規定されており、一方、下級官吏はUSPTO長官が任命してもよいと規定されていた。
最高裁判所は、APJの決定はレビューに服さない権限を所有しているため、下級官吏に相当せずに、主要官吏に相当すると判示し、APJが下級官吏とされることは違憲であると判示した。
そして、この違憲状態の救済案として、最高裁判所は、USPTOがPTABの決定をレビューして、レビュー後PTABの代わりに決定を下すことができるようにすることを提示した。そして、このPTAB決定のレビュー制度を設けることにより、APJが下級官吏とされることが合憲となることを最高裁判所は判示した。
【情報源】
USPTO HP:
USPTO Webinar資料:
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/20210701-PTAB-BoardsideChat-Arthrexfinal.pdf
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