UPC協定の暫定適用に関する議定書発効(2022年1月19日発効)
2022年1月19日、欧州単一特許及び統一特許裁判所(UPC)の施行準備の最終段階となる「UPC協定の暫定適用に関する議定書」が発効した。これにより、UPC協定の一部が暫定的に適用され、UPCに関する実体的準備が開始された。
UPCに関する実体的準備の完了までの期間としては約8ヶ月が見込まれ、準備が完了した段階でドイツがUPC協定を批准する。ドイツがUPC協定を批准してから4ヶ月目の月初めにUPC協定が発効し、欧州単一特許及びUPCが施行となる。これにより、欧州特許庁(EPO)は既に係属中の欧州特許出願も含め、欧州単一特許の付与を開始し、UPCは訴訟当事者に対して門戸を開くこととなる。
ドイツのUPC協定批准後、UPC協定が発効するまでの期間で可能なこと
(1)オプトアウトの申請
UPC協定が発効すると、UPC加盟国で有効な既存の欧州特許を含む、”単一効”を有さない従来の欧州特許の侵害訴訟と取消訴訟もUPCの管轄となる。しかし、UPC協定の発効後7年間(さらに最大7年の延長可能性あり)の移行期間が終了する前に付与される従来の欧州特許については、既存の欧州特許も含め、UPCに対して訴訟が提起されていない限りUPCの管轄を外れること(オプトアウト)が可能である。
オプトアウトの申請は、UPC協定が発効する日の3ヶ月前から可能となる。なお、UPC協定の発効前に申請されたオプトアウトについては、UPC協定発効日に有効となる。
(2)特許付与延期の申請と欧州単一特許付与の早期申請
EPOは2021年12月22日付で、ドイツがUPC協定を批准した日からUPC協定が発効する前日までの期間に以下の申請が可能となることを決定した。
① 特許付与延期の申請
申請条件:欧州特許条約(EPC)規則71(3)に基づく通知(特許付与が意図される本文の通知)が発行されており、かつ、通知された本文を承認していないこと。
② 欧州単一特許付与の早期申請
申請条件:EPC規則71(3)に基づく通知が発行されていること。なお、欧州単一特許付与前に従来の欧州特許が付与されることを防ぐためには、上述の「① 特許付与発行延期」の申請が必要である。
【情報源】
欧州特許庁(EPO)HP:
https://www.epo.org/news-events/news/2022/20220117.html
https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2022/01/a5.html
https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2022/01/a6.html
https://www.epo.org/law-practice/unitary/upc/upc-faq.html
統一特許裁判所(UPC)協定:
https://www.unified-patent-court.org/sites/default/files/upc-agreement.pdf
統一特許裁判所(UPC)手続規則:
https://www.unified-patent-court.org/sites/default/files/UPC-Rules-of-Procedure.pdf
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