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IPRの乱用で申請者が制裁を科される(2022年10月4日公表)

 米国特許商標庁(USPTO)のVidal長官は、2022年10月4日に、係属中の当事者系レビュー(IPR)であるOpenSky Industries, LLC v. VLSI Technology LLC事件に関し、OpenSky Industries, LLC(以下、OpenSky)がIPRを乱用したとし、OpenSkyはIPRにおいて問題の提示、情報開示の要求、入手、反対、追加書類の提出を禁じられるとした長官レビューを公表した。

 

【経緯】
 VLSI Technology LLC(以下、VLSI)が Intel Corporation(以下、Intel)に対し、特許侵害訴訟を起訴した。それに対して、IntelがVLSIの特許についてIPRを申請したが、特許審判部(PTAB)の手続と裁判所における特許権侵害訴訟が併存するため、PTABが審理開始を拒否した。特許侵害訴訟の結果、VLSIが勝訴した。
 地裁判決の後で、第三者OpenSkyはVLSIの特許についてIPRを申請し、IPRの審理開始が決定された。OpenSkyは地裁判決の後で設立された会社である。IPR審理開始後、IntelはIPRへ参加することを申し立て、IPRへの参加が許容された。しかし、VLSIは審理開始決定の再審理を求め、Vidal長官は、審理開始決定について長官レビューの開始を決定した。
 長官レビューにおいて、OpenSkyは、会社の設立及びVLSIやIntelとのコミュニケーションの情報を開示するという要求に対して最低限しか応答しなかった。なお、OpenSkyは、特許の無効化に積極的に参加するよりも、VLSIやIntelから金銭を引き出す目的でIPRを行った事が示された。従って、Vidal長官はOpenSkyがIPRを乱用したと判断し、OpenSkyはIPRにおいて問題の提示、情報開示の要求、入手、反対、追加書類の提出を禁じられるとした。さらに、IPR申請をPTABに差し戻した。

 

【情報源】
2022年10月4日付長官レビュー:
https://www.uspto.gov/sites/default/files/documents/ipr2021_01064_paper_102_decision.pdf

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