知的財産総局が特許法改正案を公開(2021年8月18日公開)
2021年8月18日付けでインドネシア知的財産総局(DGIP)は現行の特許法の改正案を発表した。
特許法の改正案のポイントは以下の通りである。なお、施行時期は現時点(2021年11月5日時点)では未定である。
(1) 単なるコンピュータープログラムに過ぎない発明は特許を受けることができないと規定。一方で、技術的特徴と技術的効果のある発明(いわゆるコンピュータを利用した発明)は特許を受けることができる旨を明確化
(2) 用途発明や既存化合物の異性体の特許性を認めない条文を削除
(3) グレースピリオドを現行の6ヶ月から12ヶ月に変更
(4) 第9条(c)に規定される不特許事由(科学および数学の理論や方法)を第4条(c)に移動
(5) 特許権者の排他的権利に、他者へのライセンス許諾を追加
(6) 特許権者はインドネシアでの特許実施に関する陳述書を、特許付与後、毎年提出しなければならない旨を追加
(7) 遺伝資源に関する発明について、明細書に明確にかつ正確に記載しなければならず、記載内容は政府が承認する公的機関により承認されなければならない旨を追加
(8) 遺伝資源あるいは伝統的知識に関する発明について、遺伝資源あるいは伝統的知識の出所の陳述書を提出しなければならない旨を追加
(9) クレーム数が10を超えた場合の超過料金を規定
(10) 出願人が在外者の場合、代理人の住所をインドネシアの法定住所として選択して記載しなければならない旨を明記
(11) 優先権主張が12ヶ月以内にされなかった場合、期限満了後4ヶ月以内に優先権料金を支払って優先権の主張ができる旨を追加
(12) 第25条(2)(b)の明細書が外国語の場合、英語以外の場合は英語とインドネシア語の翻訳文を提出しなければならないとし、明細書が英語の場合はインドネシア語訳の提出が必要な旨を明記
(13) 第36条(1)に記載のみなし取り下げされた出願は、料金の支払いとともに再出願することができる旨を追加
(14) 料金の支払いとともに予備実体審査を実施し、早めに実体審査を開始させることができる旨を追加
(15) 出願公開後に料金の支払いとともに早期実体審査を申請することができる旨を追加
(16) 料金の支払いとともに再実体審査を申請し、権利範囲の変更や追加を図ることができる旨を追加
(17) 特許付与決定に対する審判請求の請求人または被請求人の住所がインドネシア国内にない場合、インドネシアの代理人を通じて手続を行わなければならない旨を追加
(18) 拒絶査定に対する審判請求は、拒絶査定の通知日から3ヶ月以内に提出しなければならない旨を追加
(19) 審決の取り消し訴訟は、審判委員会による審査および決定後にすることができる旨を追加
(20) 特許の実施が、独占的実施や競争を害することにつながると証明する、事業競争監視委員会(Business Competition Supervisory Commission)の決定がある場合、強制実施許諾に関する第81条(4)および第84条(1)(b)の規定が除外される旨を追加
(21) 強制実施権の最初の認定日から2年間以内に、被許諾者が公衆の利益を害する特許実施を阻止できない場合、強制実施許諾が停止される旨を追加
(22) 国の安全保障や緊急の公益的な必要性がなく、政府が特許を実施する意図がない場合、特許権者のみが特許を実施できる旨を追加
(23) インドネシアで特許登録されたが、同国で生産できない人間の疾病を治療する化学薬品の輸入は、政府による特許利用として実施される旨を追加
(24) 国の安全保障に関連する政府による特許実施により、特許権者が排他的権利を行使できない場合、年金納付の義務が免除される旨を追加
【情報源】
インドネシア知的財産総局(DGIP)HP:
https://www.dgip.go.id/artikel/detail-artikel/djki-sosialisasikan-rancangan-revisi-undang-undang-paten-kepada-stakeholder-terkiat?kategori=liputan-humas
Tilleke&Gibbins
(掲載日:2021年11月22日)
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