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特許適格性の拒絶理由への応答を順延することが認められる試行プログラムを発表(2022年1月6日発表)

 米国特許商標庁(USPTO)は、2022年1月6日付官報において、特許適格性の拒絶理由への応答を順延することが認められる試行プログラム(Deferred Subject Matter Eligibility Response (DSMER) pilot program)を実行することを発表した。 

 

 この試行プログラムは招待制で、出願人から申請することができない。この試行プログラムは、主任審査官(Primary Examiner)が利用でき、Primary Examinerは、以下の条件を全て満たす案件を対象とする。

(1) 第1回オフィスアクションである。

(2) 特許適格性の拒絶理由と、特許性(新規性、進歩性、記載要件、明確性等)の拒絶理由の両方の拒絶理由を含む。

 

 対象となった案件では、2022年2月1日から7月30日までの間に、オフィスアクションに含む形で招待が送付される。試行プログラムに参加を希望する場合は、第1回オフィスアクションの応答時に試行プログラムへの参加を求める様式を提出する必要がある。

 

 試行プログラムに参加した出願では、オフィスアクションに特許適格性及び特許性の拒絶理由が挙げられていても、特許性の拒絶理由が解消されるまで、又は、出願が最終処分されるまで、のいずれか早い方まで、特許適格性に対する応答をしなくてもよい。ただし、特許性の拒絶理由が解消された、又は最終処分された際に、特許適格性への応答は必要となる。

なお、最終処分には、以下の5つが該当する:

(1) 特許査定の発行

(2) ファイナルオフィスアクションの発行

(3) 審判請求書(Notice of Appeal)の提出

(4) RCEの提出

(5) 出願の放置

また、「特許性の拒絶理由が解消される」とは、第2回のオフィスアクションか、又は次回のファイナルではないオフィスアクションで、特許適格性の拒絶理由のみが通知されることである。

 

 この試行プログラムは、特許適格性への応答の順延が審査の効率及び品質へどのように影響するかをUSPTOが評価する機会となる。特許性の拒絶理由が解消されたことにより、特許適格性も満たされていることがあるため、試行プログラムは、技術分野によっては、審査の効率向上及び品質向上に繋がると期待されている。

 

 この試行プログラムは、上院議員Thom Tillis とTom Cottonからの提案に基づいたものである。上院議員の提案の背景は以下のとおり。

 

・現在の運用では、特許法第101条に基づく特許適格性と、特許法第102条、第103条、第112条に基づく特許性は同時に審査されている。しかし、特許法第102条、第103条、第112条は客観的な基準がある一方、特許適格性は客観的な基準が欠けている。

・特許適格性が早期に審査される場合、特許適格性に審査官の時間が取られ、有意義な審査を行うことが困難となる。

・USPTOの元職員と討論した結果、特許法第102条、第103条、第112条に基づく特許性を審査した後に、特許法第101条に基づく特許適格性を審査する審査官がいたことが判明した。また、このアプローチをとる場合、特許法第102条、第103条、第112条に基づく特許性が解消されるのと同時に、特許法第101条に基づく特許適格性も満たされることが多く、特許法第101条に基づく特許適格性の拒絶理由が挙げられることは滅多にないことが示唆されていた。

 

【情報源】

米国特許商標庁(USPTO) HP:

https://www.uspto.gov/patents/initiatives/patent-application-initiatives/deferred-subject-matter-eligibility-response

Federal Register:

https://www.federalregister.gov/documents/2022/01/06/2021-28473/deferred-subject-matter-eligibility-response-pilot-program

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