特許法及び特許規則改正(2021年10月1日施行)
シンガポール知的財産庁(Intellectual Property Office of Singapore: IPOS)は特許法及び特許規則を改正した。2021年10月1日から施行されている。この改正では、2019年9月13日に施行となった知的財産紛争解決法(Intellectual Property (dispute Resolution) No. 23 of Act2019)に合わせるように、第三者情報提供制度及び特許付与後再審査請求制度が導入されている。特許法及び特許規則の主な改正点は以下の通りである。
(1)第三者情報提供制度(特許法第32条、特許規則45A条)
特許出願公開後、第三者は特許登録局の登録官(Registrar)へ特許性の疑義に関する情報を提出できるようになった。当該情報を受け取ったという事実は出願人に通知される。但し、第三者は、審査報告書、調査報告書又は予備的審査報告書が出願人に送付される前に、当該情報を登録官へ提出する必要がある。
(2)特許付与後再審査請求制度(特許法第38A条、特許規則52A条)
特許付与後、何人もいつでも以下の理由により再審査を請求できるようになった。但し、裁判所又は登録官で特許有効性が争われている場合には、再審査を請求することはできない。
①発明に特許性がない。
②当業者が発明を実施できる程度に発明が明細書に記載されていない。
③明細書に開示された主題が出願時の開示の範囲を超えている。
④特許付与後の補正が新規事項の追加又は権利範囲を拡張する補正である。
⑤特許付与後の明細書又は出願明細書になされた訂正が特許法上許されない補正である。
⑥特許が同日の優先日を有する同一発明のための同一の者によって出願された2以上の特許の1つである。
審査官が再審査請求の根拠が合理的であると判断した場合は、審査官の見解書が特許権者へ送付される。特許権者は当該見解書の送付日から3ヶ月以内に応答書を提出しなければならない。なお、特許権者は当該見解書の送付日から2ヶ月以内に審査官とのインタビューを要求することもできる。また、クレームを減縮補正することもできる。
(3)争われた特許有効性の証明書(特許規則62A条)
裁判所又は登録官は特許の全体又は一部が有効であると判断すると、その旨を証明する証明書を発行する。裁判所が証明書を発行した場合、特許権者はその旨を特許登録簿に注記するように登録官に申請できる。登録官が証明書を発行した場合、登録官はその旨を特許登録簿に注記する。
(4)特許取消に関わる手続(特許規則80条)
特許取消申請に対して、特許権者が反対陳述書を提出しなかった場合、特許取消申請が認められることとなった。改正以前は、特許取消申請に対して、特許権者が反対陳述書を提出しなかった場合、特許取消手続に参加できなくなるという規定であった。
また、特許権者は登録官からの特許取消命令の通知日から14日以内に申請書を提出でき、登録官はその申請書を考慮し、特許取消命令を破棄してもよいという規定が追加された。
【情報源】
シンガポール知的財産庁(IPOS)HP:
https://sso.agc.gov.sg/Act/PA1994?ValidDate=20211001&Timeline=On&ProvIds=pr32-#pr32-
https://sso.agc.gov.sg/Act/PA1994?ValidDate=20211001&Timeline=On&ProvIds=pr38A-#pr38A-
Baker & McKenzie HP:
Drew & Napierニュースレター
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