日本特許庁（JPO）とベトナム知的財産庁（NOIP）との日ベトナム特許審査ハイウェイ（PPH）は2016年に第1期の試行プログラムが開始されて以降、現在第3期（2022年4月1日~2025年3月31日）の試行プログラムが実施されている。ベトナムにおいて、PPH申請日から最初の拒絶理由を受けるまでの期間は平均8.53ヶ月、PPH申請日からオフィスアクションを受けずに許可通知を受け取るまでの期間は平均7.98ヶ月である（Tilleke＆Gibbins所内のデータによる）。

　日ベトナムPPHは開始以来、多くの日本企業の関心を集め、過去には受付初日に受付上限に到達していた。しかし、2022年上半期は上限の100件に届かず、残った件数が下半期に追加されている。

　一方、2023年1月1日に施行された改正知的財産法第114条では、外国の特許庁の実体審査の結果を、対応するベトナム出願の審査において参考にすることを知的財産庁に認めている。また、知的財産法114条の利用を促進するために、ガイドラインを改定する計画もあり、今後、審査迅速化の選択肢になると考えられる。

【情報源】

Tillke&Gibbins HP：

https://www.tilleke.com/insights/a-review-of-the-japan-vietnam-patent-prosecution-highway/

【実務上の留意点】

　これまで受付初日に上限に達していたベトナムへのPPH出願だが、現在は受付初日以降でも出願を検討できる状況であり、利用しやすくなっている。知的財産法114条に関するガイドラインの改定時期などは未定であり、当面は、実績のあるPPHが有効な審査迅速化の手段と思われる。