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特許法および意匠法改正案の最新ドラフトを発表(2020年9月30日発表)

特許法および意匠法改正案の最新ドラフトを発表(2020年9月30日発表)

 タイの知的財産局(DIP)は、2020年9月30日に特許法および意匠法の改正案の最新ドラフトを発表した。今回のドラフトでは、これまで別々に改正が検討されてきた特許法と意匠法をひとつの改正法案とする修正がされている。今回公開されたドラフトに対するパブリックコメントの募集はすでに終了している。改正のポイントは以下の通り。

 

(1)特許法改正案

 特許法に関する改正案は、これまでにも何度か公開されてきているが、改めて主な改正を以下に示す。

・ 遺伝資源(Genetic Resources)および伝統的知識(Traditional Knowledge)に関する条項の追加

・ 公衆衛生のための強制実施に関する条項の追加

・絶対新規性の採用

・二重特許(Double Patent)の禁止を明記

・グレースピリオドが適用される開示の種類を明記

・手術方法は特許適格性がない旨を記載

・ 公開時期の明確化(1回目の公開:出願から18ヶ月以内、2回目の公開:実体審査の完了後)

・ 自発的な分割出願時期の規定追加(2回目の公開前まで)

・ 審査請求期限の短縮(出願から3年以内)

・ライセンス契約の登録方法の変更

・ 登録後誤記訂正可能な範囲の規定追加(特許された権利を超えない範囲での訂正が可能)

・輸入医薬に対する強制実施権の規定追加

・ PCTに関する条項の追加

・小特許に対する審査請求期限の変更(出願から6年以内)

・ 登録後異議申し立て制度の導入(2回目の公開から90日以内)

・ 登録前異議申し立て制度の導入(1回目の公開から2回目の公開までの期間)

 

(2)意匠法改正案

 意匠法改正案には意匠登録手続きの大幅な変更も含まれており、意匠の国際登録に関するハーグ協定へのタイの加盟に備える条文が導入されている。主な改正案は、3つの主要なカテゴリに分類される。

 

① 手順

・DIPはタイでの意匠出願の公開前に意匠の審査を実施することを提案した。審査後、DIPは意匠出願を公開し、公開日から最大90日、異議を受け付ける。

 

・意匠出願の公開遅延は、DIP局長のガイドラインで規定された規則と手順に従って要求することができる。遅延要求に関係なく、DIPは審査またはオフィスアクションの発行を進めることができる。

・オフィスアクションへの応答期限は、現在の受領日から90日を60日に短縮する。出願人は60日の延長を要求(1回限り)することができる。

 

②保護

・「意匠」の定義に「肉眼で見える物品の一部」が含まれているため、部分意匠の保護が認められる。

・「意匠の原則」の定義に関連意匠の保護の余地を設ける。関連意匠は本意匠と類似性があり、同じタイトル、出願人、対象物品でなければならない。本意匠の出願日から6ヶ月以内に出願する必要があり、本意匠の出願日から保護される。譲渡人は関連意匠を一つのセットとして、出願日から6ヶ月以内に一人の譲受人に譲渡することができる。

 

 ③保護期間

・意匠権は15年間の保護(登録されてから5年後、さらにその5年後に計2回の更新)が認められる。更新料の支払い期限日から6ヶ月を超えて支払いを申請した場合、権利者はDIP局長に更新料の遅延納付を容認することを請求する必要があり、その場合は50%の追加料金が発生する。

 

 新しい改正案では、権利者の権利について詳しく説明している。意匠権は図面、タイトル、クレーム、および簡単な説明の範囲内でのみ適用される。同様に意匠権の権利範囲外の特徴を利用することは許可していない。非侵害の例は以下の通り。

・商業的利益または所有者の利益との衝突のない私的利用

・所有者の利益と矛盾しない調査と実験

・誠意のある先使用

・船舶の一時的または緊急の立ち入り

・所有者の同意を得た後の意匠権使用

 

 タイがハーグ協定に加盟すると、DIPは国際出願の申請を受け取り始める。申請者は、タイ国籍を持っているか、タイ在住または産業、商業活動を行っているタイの登録法人である必要がある。タイを指定する国際出願はタイでも出願されたものとみなされ、WIPO登録日がタイの出願日となる。タイは単一意匠の出願のみ受け付けているため、複数意匠の出願はDIPによって拒否され、単一出願として提出する必要がある。DIPは意匠の新規性およびその他の実質的な根拠を審査する。

 

 上記の特許および意匠の改正案は、公聴会で受け取ったコメントと、内閣および国家評議員によるさらなる改定に応じて、追加の変更となる可能性がある。本改正案のさらなるアップデートは2021年末頃となる予定である。

 

【情報源】

Baker & McKenzie Ltd.

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