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SEPに関する中国との貿易紛争についてのWTOパネル設置の検討状況(2023年1月27日公表)

 欧州連合(EU)は2022年12月7日、中国との間で進行中の貿易紛争について、世界貿易機関(WTO)にパネルの設置を要請し、WTO紛争解決機関(Dispute Settlement Body:DSB)は2023年1月27日付でパネルの設置に同意した。貿易紛争は、EUで取得された標準必須特許(Standard Essential Patent:SEP)の特許権者によるその権利の保護や行使を中国が制限していることの合法性を問うものを含む。

 

 2020年8月以降、中国の裁判所は、SEPを持つ企業が、EU裁判所を含む中国以外の裁判所に訴訟を起こして自社の技術を効果的に保護することを妨げる決定、いわゆる「訴訟差止命令」を出した。この訴訟差止命令に違反すると1日当たり13万ユーロの罰金を科すとされている。

 EUは中国のこの措置を知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)と矛盾していると考え、WTOにパネルの設置を要請した。EUはWTOにパネルを要請することで、EUのハイテク技術産業がイノベーションへの投資を保護するために特許権を効果的に行使できることが確実となるように目指している。

 

 中国は2022年12月20日のDSB会議においてパネルの設置に反対したが、EUはパネルの設置要請を撤回せず、2023年1月27日の会議においてDSBがパネルの設置に同意した。パネル訴訟は最長1年半続く場合がある。

 

【情報源】

欧州連合(EU)HP:

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_7528

世界貿易機関(WTO)HP:

https://www.wto.org/english/news_e/news22_e/dsb_20dec22_e.htm

https://www.wto.org/english/news_e/news23_e/dsb_27jan23_e.htm

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