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韓国特許審査基準の改正(2021年12月30日施行)

 2021年12月30日付で韓国の特許審査基準が以下の通り改正及び施行された。

 

(1)発明の説明に記載された発明の効果及び非常識的発明に対する審査基準の強化

①改正の背景

立証されない発明の効果(医学的効果や非常識的発明の効果)が発明の説明に記載された特許登録を防止するため、発明の説明に対する審査基準を強化した。

②改正内容

A.発明の説明に記載された発明の効果の有無に合理的な疑いがある場合、効果立証を要求する拒絶理由を通知し、立証されない場合、拒絶決定が可能である。

B.発明の説明に記載された発明の効果が、請求項に記載された発明と関連した効果でない場合にも、審査官は出願人に立証資料の提出要請をすることができ、要請後に立証されなければ、審査保留又は立証されない当該効果の記載を削除する職権補正が可能である。

C.非科学的な行為を構成要素として含み、社会通念を逸脱する非常識的な目的・効果を有する発明は、自然法則を利用しない発明として取り扱い、発明の成立要件違反の拒絶理由を通知することが可能である。

 

(2)選択発明の進歩性判断関連の最近の判例を反映

①改正の背景

選択発明の進歩性判断の際にも構成の困難性を検討しなければならないという最近の大法院判例を反映した。

②改正内容

引用発明において請求項発明の上位概念が公知になっている場合にも、構成の困難性が認められれば進歩性が否定されない。引用発明において請求項発明の上位概念が公知になっているという理由だけで構成の困難性を検討もしないまま、効果の顕著性の有無だけで進歩性を判断してはならない。

 

(3)特許法改正事項の反映

①改正の背景

特許法改正事項(2021.11.18.施行)を審査基準に反映した。

②職権補正関連(特許法第66条の2改正)

A.特許決定の際の審査官による職権補正においては、新規事項を追加できない。

B.審査官が新規事項を追加するか、又は明らかに誤りではない事項を職権補正した場合、特許無効審判や特許侵害訴訟の段階などで特許発明の保護範囲を定める際に、その職権補正は最初からなかったものと見なす。

③手数料返還関連(特許法第84条第1項改正)

A.先行技術調査の結果通知があった後に出願を取下げ・放棄する場合でも、審査着手前であれば審査請求料の全額が返還される。

B.最初の拒絶理由通知後、意見書の提出期間満了前に出願を取下げ・放棄する場合、審査請求料の1/3が返還される。

 

(4)特許審査事務取扱規程の改正事項の反映

①改正の背景

特許審査事務取扱規程の改正事項(2021年6月23日施行)を審査基準に反映した。

②先行技術調査が要求された出願に対する優先審査の審査着手期限延長 (4ヶ月⇒8ヶ月)

先行技術調査が要求された出願を理由とした優先審査申請がなされた場合、従来は審査官が優先審査をすることを決定して優先審査決定書を発送した日から「4ヶ月」までに審査に着手しなければならなかったが、今回の改正により、審査着手期限は優先審査決定書を発送した日から「8ヶ月」に延長された。

③情報提供があった場合、出願人に情報提供事実を通知

従来、韓国知的財産庁(KIPO)においては、情報提供があった場合にも、その事実を出願人に通知しなかったが、特許審査事務取扱規程の改正により、審査官は情報提供があった出願に対して情報提出書が送付された日から1ヶ月以内に情報提供があったことを出願人に通知する。

④2回以上特許拒絶決定が取り消され、審査官に差し戻された場合の担当審査官の変更を強化

従来は、特許拒絶決定が取り消されて審査官に差し戻された出願は、特別な事由がない限り、拒絶決定をした審査官が審査を継続するが、2回以上特許拒絶決定が取り消されて審査官に差し戻された出願は、拒絶決定をした審査官ではなく、他の審査官に担当審査官を変更できると規定し、2回以上特許拒絶決定が取り消されて差し戻された出願に対する担当審査官の変更が裁量事項として規定されていた。改正された審査基準においては、2回以上特許拒絶決定が取り消されて審査官に差し戻された出願に対しては、「特別な事由がない限り」拒絶決定をした審査官ではなく、他の審査官に担当審査官を変更するように強化する。

 

(5)真の発明者記載に関する審査基準の強化

真の発明者ではない者(特に、乳幼児を含む未成年者)を発明者として記載した出願に対して発明者記載方式違反で補正を命令し、補正されない場合、出願無効処分が可能である。

 

(6)パリ条約優先権主張出願において、先・後出願人の同一性判断基準を明確化

①パリ条約優先権主張の基礎となる出願(先出願)の出願人とパリ条約優先権主張出願(後出願)の出願人は、後出願の出願時点で同一でなければならず、共同出願である場合は、後出願人全員が先出願人と完全に一致しなければならない。

②しかし、先・後出願人が互いに同一でなくても、先出願人全員が後出願人に含まれる場合には、後出願の共同出

願人の間に権利承継に関する別途の契約があることが十分に予想できるため、先出願人の他に追加された後出願に対しては、優先権譲渡に関する別途の書類を要求する必要はない。

③一方、先出願人の一部が後出願人から除外される場合には、除外された先出願人と後出願人との間の権利承継

について確認する必要があるため、補正命令を通じて関連書類提出を要求することができる。

 

【情報源】

特許法人KOREANA ニュースレター

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