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拡大審判部はパンデミック時のビデオ会議による口頭審理の実施を承認

 欧州特許庁(EPO)の拡大審判部は、2021年7月16日、ビデオ会議による口頭審理の欧州特許条約(EPC)への整合性に関する質問の付託(G1/21)について審決したことを公表した。

 

 本付託は、2021年3月12日のEPO審判部の決定T1807/15において、すべての当事者がビデオ会議によって口頭審理を実施することに同意しているわけではない場合に、ビデオ会議による口頭審理の実施がEPC116条(1)に規定されている口頭審理の権利と整合するかどうかを明らかにすることを目的として行われた。

 

 審決において拡大審判部は、EPOの敷地内で行う対面での口頭審理に当事者が出席できないような緊急事態が続く間については、審判部における口頭審理のビデオ会議による実施についてすべての当事者の同意がなくても実施可能(すなわち、口頭審理のビデオ会議による実施はEPCと整合する)とした。

 

 なお、拡大審判部は、緊急事態でない場合でも当事者の同意なしにビデオ会議による口頭審理を行うことができるかについては言及していない。また、審判手続ではなく審査や異議申立手続においても当事者の同意なしで口頭審理がビデオ会議によって行われる可能性があるかどうかについても言及しなかった。したがって、本審決が審査部および異議部に直接適用されることはない。また、緊急事態が発生していない状況においても本審決は適用されない。

 

 EPOは、依然として世界的なパンデミックが続いていることを踏まえ、ビデオ会議による口頭審理の実施を継続すると公表した。また、本審決の理由が書面で公表され次第、EPOはこれについて注意深く分析して、審査部や異議部におけるビデオ会議による口頭審理に対する潜在的な間接的影響を評価するとしている。

 

【情報源】

欧州特許庁HP:

https://www.epo.org/news-events/news/2021/20210716.html

 

(掲載日: 2021年9月10日)

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